みなさんこんにちは〜。

暑い日が続いていますが体調はどうですか?

私は毎朝、梅干しを一つ食べて健康オタクなりになんとか倒れないように熱中症対策をしています。

さてさて、今回は上野にある西洋美術館がついにリニューアルオープンしたということでアート特集です。

みなさんは松方幸次郎という人物を知っていますか?

私もこの原田マハさんの小説『美しき愚かものたちのタブロー』読むまでは知りませんでした。

(2022年6月7日、文庫本としても出版され表紙がゴッホに!思わず購入。)

 

松方幸次郎さんは、日本の画学生たちに、西洋の本物の美術を見せたい

という想いで、ヨーロッパを巡り絵画を買い漁り沢山の絵を日本に持ってきてくれた人です。

こちらのマハさんの小説は松方幸次郎さんを軸に西洋美術館ができるまでの誕生秘話。

読み終わった後、西洋美術館に行きたくなる、行かなくちゃと思わせてくれる作品です。

松方幸次郎とは?

1865年 鹿児島県出身。

松方正義という内閣総理大臣も務めた政治家の三男で、川崎造船の社長でした。

造船業で成功し、莫大な利益を得たそのお金で日本の画学生に西洋の本物の絵を見せたいと当時の現代アート(印象派)を買い集めました。

海外を買付で巡り、フランスでは絵の買い方がすごい日本人が来たぞと有名になるほどで

お店に入ると『入り口から出口まで全部くれ』という爆買いをしていたそうです。

なので松方幸次郎がこの画家の絵が欲しいと言えば、ヨーロッパ中からその画家の絵が集まるほどすごい影響力を持っていました。

そうしてヨーロッパを巡り約10,000点の作品をget

絵画だけでなく彫刻や家具、タペストリーも手に入れたそうです。

これらの爆買いは自らのためではなく、日本の若者たちのために美術館をつくるという志のためでした。

 

美術館断念。

ですが、美術館を作ろうとしていた矢先に経済恐慌が起こり、川崎造船も経営難に陥り松方幸次郎も社長を辞めなくてはならなくなるほどのピンチに

せっかく集めた作品も、財務整理で売らなくてはならず手放すことに。

さらには、ヨーロッパ中を巡り収集した作品はロンドンやフランスにも残されていましたが

そのロンドンの倉庫が火災にあい、ロンドンにあった作品は失われてしまうという最悪な事件も起きてしまいます。

松方コレクション復活

フランスのパリ残されていた約400点の作品が、第二次世界大戦の末期、敵国人財産としてフランス政府の管理下におかれ、フランスの国有財産となってしまいます。

しかし、そのあと1950年より返還交渉が始まります。

交渉は難航しましたが、1951年のサンフランシスコ講和会議の際に吉田茂首相がフランスに返還要求し

フランス政府が日仏友好のためにその大部分を『松方コレクション』として日本に寄贈返還することになりました。

寄贈返還の条件として松方コレクションを受け入れるための美術館をつくるということで、ル・コルビジュエの設計により西洋美術館が作られることになりました。

1959年 国立西洋美術館 開館。

松方幸次郎は1950年に死去していますが、孫の松本健によると、晩年はフランスからの返還に備えて受け取りサインを書く練習をしていたそうです。

現在も、西洋美術館では松方コレクションの調査や買戻しを続けられているそうです。

まとめ

若者に本物の絵画を見せたいという大きな志を持ち海外まで絵を買い付けに行くという行動力。

また、実際に生前のモネにも会って、絵を譲ってもらったりしたという仰天エピソード。

事業が上手くいかなくなったり、絵を預けていたロンドンの倉庫が火災にあった話など紆余曲折ありましたが、

それらを知ってから、西洋美術館に常設されている絵を見ると、ここでこの沢山の作品を観れるのが当たり前のことではなく、奇跡。

目の前の当たり前にあるものは、松方幸次郎さんをはじめ、昔の方々の血の滲むような努力があってのものと思うと、

今の世の中は便利すぎて、ある意味その有難さを感じるにはギャップがありすぎるかもしれません。

その苦労を今からする必要はないけれど、その大変さを知り、今ある幸せな状況や有難い環境を学んでから見ることができたら、

本物をより近くに感じて、さらに感度の高い美しい世界に触れる事ができるのではないかなと思いました。

こんなにも近くに大勢の巨匠の絵があると思うと、本物を出来るだけたくさん見に行きたいとより強く感じました。

歴史を学ぶとまた新しい発見と感動がたくさんありますね。

〈モネと松方幸次郎の貴重なツーショット〉

西洋美術館リニューアルopen

その松方コレクションが常設展でみれる西洋美術館が新しくリニューアルしました。

上野駅公園口から徒歩3分。

リニューアルのために2020年より1年半ほど休館しやっとこの春、開館。

待ち遠しかった、、、

大きく目に見えて変わったところは美術館の前庭がすっきり整備され、広々としたスペースになったところ。

  

それ以外はメンテナンスをした感じで、これから長く美術館を使っていくにあたり、整備したようです。

この三角窓のある19世紀ホールのところまでは無料で入れるようにもなっていました。

リニューアル記念展覧会

現在、西洋美術館ではリニューアルオープン記念の展覧会がやっています。

『自然と人のダイアローグ、フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』

https://nature2022.jp/

ドイツのフォルクヴァング美術館が協力してくれて西洋美術館との素敵なコラボーレーションをしています。

今回の見どころは、ほぼ写真撮影がOKというところです。

海外の美術館ではほとんど撮影可能なことが多く、日本はまだまだ撮影を許可しているところは少ないのですが、

松方コレクションは西洋美術館所蔵のため撮影が可能。

展覧会に入った瞬間から写真が取り放題のため、お気に入りの作品を記憶に残すだけじゃなく、記録しながら楽しむことができました。

後になって見返すとまた違った角度で絵を楽しむことができて楽しみが2倍です。

そして今回、ドイツから来たゴッホがこちら

『刈り入れ』という題名で、稲がかられる瞬間に死のイメージをもったと言って書かれた一枚。エピソードの割には明るくゴッホらしいエネルギー溢れる一枚を見ることができました。

その他にはモネの『ルーアン大聖堂のファサード』(朝霧)という印象派の幻想的な作品を始め、カンディンスキーやリヒターなどの抽象画や現代アートも沢山来ていました。

そしてモネと親交のあった松方さんのコレクションからはやはり素敵なモネがたくさん展示されていました。

モネ『ポプラ並木』↑

モネ『睡蓮』↑

最後に、フランスで発見され半分なくなってしまっている伝説の睡蓮も拝むことができました。

この他にも、紹介しきれないほどの一流の素晴らしいコレクションが沢山あったので、西洋美術館と松方コレクションの歴史を辿りながら見てみることをおすすめします。

マハさんの小説に、松方幸次郎は日本が欧米諸国と比肩するためには、経済力、軍事力ばかりでなく、芸術の力が必要だと直感した。と書いてあります。

芸術の力が、争いではなく、お互いを助け合い、たくさんの人の生きる力になっていくことを願います。

というわけでなく今回はアートバージョンをお送りしました〜!

それではまた〜。